光散乱Q&A

■ 光散乱Q&A(第29回)2017年11月実施

 

● 「光散乱基礎講座『静的光散乱法』」佐藤 尚弘先生

Q.粒度分布装置(ミー散乱、フラウンフォーファー回折の装置)で測ったりしているが、先ほどのポリスチレンの密度が非常に低いという話だが、水の膨潤とかがいくらか入っているのではないかと思うが如何でしょうか。


Q.緩和時間分布関数は、系の散乱体の個数、重量、体積?(CONTIN) いつも会社で問われて困ります。
今回の講演のRhはピーク値でしょうか。多分散では?


Q.粒子内干渉、粒子間干渉を理論式で記述するとどうなりますか? 希釈系でも?
第二ビリアル係数の符号は?充分な希釈系で、弱い引力として考えるのですか?(Zimmプロット)


Q.水溶液の分子量測定を複数紹介していただきましたが、「光散乱の基礎と応用」で、水溶液のSLSのデータは理想系からはずれやすいという旨の記述があり、実際DLS-8000で水溶液のポリアクリル酸を測定したら、Zimmプロットにうまくのりませんでした。 測定テクニック等があれば教えていただきたいです。


Q.Rθの濃度効果について、良溶媒中と貧溶媒中で、2A2Mcが異なるように説明されていますが、そのように”ばしっと”2通りに分かれるものなのでしょうか。
良・貧の境界もはっきりとはないように思うのですが・・・? (基本的ですみません)


Q.静的/動的光散乱によって、Rg、Mw、Rhが求まりますが、これらの値に対する、溶媒の直接的な関与の有無について、測定原理の観点から、ご説明いただけないでしょうか。


Q.光を吸収する材料(強度が減衰するもの)を扱うときの注意点、具体的な補正のやり方を教えてください。
動的光散乱、静的光散乱、両方のケースについてお願いします。


Q.散乱強度:I=1/2 εs∣E∣2、のεsは何ですか? (1-12頁)


Q.Rθの絶対値(トルエンなどの標準物質から求めるもの)の算出方法およびその単位を教えていただきたいです。


Q.散乱強度が距離の二乗に比例して減少していくという事でしたが、これは溶媒による吸収でしょうか?
溶媒の種類は関係ないのでしょうか。


Q.フローセル型のDLSの実力をどのように評価しますか?
また、フローセル型のDLSの課題は何ですか?


Q.合成高分子の様々な溶媒での溶液を調製して、溶媒と高分子の親和性を見るために回転半径や流体力学半径で比較しようと考えたのですが、妥当な評価でしょうか。
SLSとDLSでは、どちらが適切な測定方法でしょうか?


Q.正確な質量濃度とは、どの程度の正確さが必要ですか?


Q.研究で合成したポリマーの回転半径および第二ビリアル係数を求めたいと考えています。
静的光散乱法で測定する際、ポリマーの分子量は最低どの程度必要でしょうか。
(基本的な質問で大変申し訳ございません)


Q.装置的にSLSのRgでは1nmとか5nmとかは測定できないのですが、Rhでは測定できるので、1-15頁などのRh・Mプロットが使えるのではないでしょうか。


Q.コロイド粒子 → SLSで分子量求められるのか? 沈降が起こり測定できない場合が多い。
dn/dcが、0.2を超えるものはどんなものか。 特に水が溶媒の時は、0.1~0.2の間に入ることが多い。


Q.良溶媒中でのポリマー鎖の状態について、せん断力で伸ばされた時、ほぼ直線になるのか、静的光散乱で計測できますか?
Rh、回転半径は、どの程度になるのか。
例えば、モノマーユニット長×分子量の何%くらいになるのか?


Q.動的光散乱法で高せん断速度までレオロジー測定(マイクロレオロジー)できるみたいですが、どのようなことがわかり、どんな分野で使用されるのですか。


Q.屈曲性高分子の項では、PStのモル質量をSLSで出しているが、MALDIなどの直接的な手法と比べて何かメリットはあるのか?


Q.静的光散乱測定で、角度を変化して散乱強度を測定するとき、一般にI/I0・sinθは、角度とともに減少し、その勾配が慣性半径に相当するものと思います。ただし、時々I/I0・sinθが角度とともに上昇し、慣性半径が負の値になることがあります。どのように解釈したらよいでしょうか。


Q.静的光散乱測定にもちいる溶媒の選択する考え方
合成高分子では古くから2-ブタノン(MEK)を用いた報告が多いが、MEKは特級グレードでも着色している。この着色は静的光散乱測定にどの様な影響がありますか。


Q.A2は良溶媒と貧溶媒を評価するパラメータと思います。
A2がゼロに近いと会合してMwが大きくなる場合と、A2が負でも会合しない場合があります。
A2が小さい場合、会合の有無、正しいMwが得られているかどのように判断したらよろしいでしょうか。


Q.分子量分布がある場合、Mは重量平均、RgはZ平均になりますが、A2はどのよう次数になるのでしょうか。


Q.円筒状粒子のRhの計算は、どのくらいの軸比まで適応可能なのでしょうか。


Q.オリゴスチレン
屈曲性の理論線は冠球円筒理論線と重ならないのか。
低分子領域で接近しているのではないか。


Q.RhとMからモル質量とサイズの関係をいくつか示していただきました。両者の必要性が良く分かりましたが、MをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラム)で測ってプロットしてもいいのでしょうか。


Q.P21、キサンタンについて、X線でもデータをとっていますが、DLS、SLSの機器のみでも測定できるか。
ご発表の内容から、大塚電子のDLS/SLSの1台の機器で測定可能ですか。(DLS-8000ではない方。(固定角のELSZ?))


Q.・濃厚系粒子測定における媒体粘度の正しい取り扱いについて
・動的光散乱法の精度検証について


Q.・dn/dcについて再度質問したいです。dn/dcは結局何を示しているのでしょうか。
・合成両親媒性高分子についてですが、球状でも大きさに差ができる上に、線状なども形成されると考えられますが、大きな差を見つけることは可能でしょうか。

質問の答えにより、分けると分かりました
→何故、2つの山の早く表れた方を静的光散乱法で測定すべきなのでしょうか。また、分けるというのはろ過でしょうか?詳しい方法が知りたいです。
また、ランダムと交互重合体で分ける必要がないというのは、直接的に関係性がないからでしょうか?
(基本的なことばかり聞いて申し訳ありません。)


 

● 「⼆重らせん多糖類キサンタンの熱変性・再性に伴う構造変化」松田 靖弘先生

Q.SEC-MALSとして使用すると、高分子側や低分子側など、濃度がうすくなってしまう場合どのデータまで有効にしてよいか教えてほしい。判断基準などがあればそれも教えていただきたいです。


Q.持続長の簡単な見積もり方とは?
値の目安も教えてほしい。


Q.粘度(充分ゆっくりな定常流)から、分子鎖の折れやすさは分かりませんか。


 

● 「光散乱を利用した高分子の結晶化と相分離挙動の追跡」斎藤 拓先生

Q.Debye-Buecheの単調減少挙動は、全ての系に当てはまりますか?
(SAXSのpeak分離用のBGでも使えるか、その場合の注意点はありますか?)


Q.PC/PEOブレンドやPET/PTTブレンドにおいて、液液相分離で結晶化が誘発されることを示して頂きましたが、その際の結晶化のドライビングフォースは何なのでしょうか。(ポリマーが小領域に押し込められる(圧が上がる??)ようなイメージがありますが・・・。)


Q.HNBR伸長時、まずポリマー鎖間距離が広がり、その後、配向がそろって、結晶化が進むのでしょうか?
また、多くの架橋ゴムは黒色で光散乱測定はできませんが、もし測定できるとしたら、同様の過程を経ているとお考えでしょうか。


Q.相分離について、ポリマーブレンドでなく、ポリマー溶液中の相分離は検出できますか?
溶液を測定したとしたら、どんな散乱パターンが考えられますか。


Q.経時の散乱強度変化で、結晶化を見ていたが(スライド3-13)、それはθ一定で散乱強度を見ても測定できるか?
(スライド3-16)で、デバイビュフェ式を使用できるか、使用できないか?


Q.フィルムのような薄いものでなく、ポリマーバルクのような厚いものに対して、Hv散乱、Vv散乱を測定することはできるでしょうか。


Q.光ファイバーのような細いものに対して、Hv散乱、Vv散乱を測定することはできるでしょうか。


Q.散乱強度から相分離構造の定量的な議論がどの程度できるか?
(相関長以外にも、密度差、界面の明瞭さなど、SAXSにおけるI(θ)のような値をだせるか?)


Q.上記議論ができる場合、そのようなサンプルが好適か?
透明性、厚みなど、サンプルの状態によって、球晶、相構造解析の測定値にどの様な誤差を生じるか?


Q.PC結晶化モデル:波が両方向に進行しているように見えます。正しいですか?


Q.スピノーダル分解誘起の結晶化で、スピノーダル分解の成長は結晶化とともに停止する?
結晶化が生じるのはスピノーダル分解の後期過程? (後期過程の濃度になってから結晶化している?)
スピノーダルラインの外側(組成比がかたよっている)の場合、海島の相分離と同時に結晶化が進行する?


Q.架橋ゴムで質問です。
S-S曲線から、散乱を調べられていましたが、
1.結晶化していない、I、IIの領域、結晶化するIIIの領域に関し、どのように区切っておられるのでしょうか?目で見て不透明であると確認されているのでしょうか。
2.架橋ゴムであれば、種類をかえても全てのものがこのような性質を示すのでしょうか。


Q.(勉強不足ですみません)
・レオメータメーカーの小角光散乱と、大塚電子の小角光散乱とは何が違うのでしょうか。
・結晶化は最小どの位の秒数で観測できるのか。
・空疎な結晶と密な結晶が共存することは、フィルム物性としてどういった意味を持ちますか?


 

● 「バイオマテリアル応用を目指した刺激応答性微粒子の調製」菊池 明彦先生

Q.ロッド状分子に関して、アスペクト比を例えば8くらいの物でも、温度をかければ、また球状に戻るのか?


Q.培養による、増殖速度と取込速度の違いの解析について


Q.形状の評価を光散乱でおこなう方法はありますか?
SEM以外で何で形状を見ていますか?
ナノ粒子(30~80nm位)が球状であることを簡便に確認する方法を探しています。ご教示いただけますと幸いです。


 

● 「散乱法を用いたポリロタキサンと環動高分子の構造解析」伊藤 耕三先生

Q.環動高分子の様々な材料系への配合を検討したく思いますが、設計を行う上でのポイントは何ですか?
(シクロデキストリンと結合ができること、とか)


Q.ポリロタキサンは、今後どんなことに応用が期待されるのでしょうか。(特に生体への応用)


Q.ポリロタキサン添加材料で、SAXSのショルダーがあると特性が高いとのことでしたが、SAXSの肩の20nm周期構造は、どのような構造に対応しているのでしょうか?


Q.たとえば、ひっぱる速度を早くすることによって、このロタキサンの架橋点の部分が化学架橋のように振る舞うことはないのか?


Q.ポリロタキサンのゲルやエラストマーの物性には、シクロデキストリンの分布が均一であることが重要のように思います。エラストマーでも強くしたいポリマーとシクロデキストリンの相溶性が悪くてシクロデキストリンが凝集してしまったりして、物性が上がらないとかあり得ますか?


Q.PLAへポリロタキサンを入れることで破断歪みが上がることについて、PLAへの混合は単にポリロタキサンを混ぜているという事でしょうか。それとも、ポリロタキサンからPLAをグラフト鎖として生やして架橋させているのでしょうか。
前者の場合、PEGを単に混合した時に、可塑剤としての働きがあり破断歪みが上がったこととは考えられないでしょうか。
ポリロタキサン、PEGで混合による効果の差があれば教えていただきたいです。


Q.25%の設定の根拠について


Q.非常に興味深い材料ですが、自社の材料に混ぜてみたい場合、どこかで材料を購入させていただけるのでしょうか?


Q.持続長が長く、かたい高分子でつくったゲルと、持続長が短く、柔らかいとされる高分子でつくったゲルは、実際にはどのような違いがでるのでしょうか?


 

● 『光散乱法の基礎と応用』および光散乱全般、講師先生方・世話人・大塚電子

Q.動的光散乱について、
Γ-1とq2の関係が比例関係にならない時、あるいはq2=0 でΓ-1≠0 となる時、データの処理の仕方(Rhの求め方)、データの正確性について教えていただきたいです。
二次散乱の影響とは思われるのですが・・・。
(CONTIN解析だとRhは5nm+100nm)
また、SLSでもこういった現象は起きるのでしょうか?


Q.蛍光を出さないと考えられる物質に単色性の高い光、例えばレーザー光を当てて散乱をおこさせた時、その散乱光の単色性が低下する、つまり分光幅が広がってしまう場合というのは、どのようなことが考えられますでしょうか?
例えば、スリガラスに当てた場合にそのような現象が起きたように見えるのは、分光器の分光分離能が悪いせいなのでしょうか?


Q.動的光散乱
ポリイオンのRhは、解離したイオンを含んているのか。


Q.時間内のQ&AにでていたDLSに不適切な濃厚溶液について、具体的にはどの程度の濃度から濃厚溶液というのでしょうか?
(1%、0.1%、100ppm等のオーダーでお聴きしたいです。サンプルとしてはポリマー溶液を考えています。)


Q.光散乱の動的光散乱は良く使われますが、動的散乱はX線や中性子散乱でも測定できるのでしょうか。
波長(周波数)に制限があるのでしょうか?


Q.dn/dcの原理となる式について


Q.ゲル伸長時のSAXS測定で、アブノーマルバタフライパターンを示すのは何故ですか?
不均一ならパターンを示さない(円形のパターンになる)と思っていたのですが。


Q.DLS-8000で粒径分布解析の方法(アルゴリズム)にCONTINやマルカートなど4種類あるが、それぞれの特徴が調べてもなかなかわからない。
是非、それぞれの特徴や使用に適した例(例えば、単峰性/多峰性など)を教えてほしい。