世話人について

■ 散乱研究会とは


 光散乱法が高分子やコロイドの研究に応用され始めたのは、1944年のデバイの論文がきっかけになります。その後、ほぼ同時期の1940年代後半にジムらが高分子溶液の光散乱測定を始めました。当時は高分子の基礎物性を調べる手段が乏しかったので、光散乱法は瞬く間に高分子溶液物性の主力研究手段となりました。我が国でも1960年頃から試作品ともいうべき光散乱測定装置が開発されています。ところが、光散乱法を利用するには散乱理論の知識が不可欠であり、またその測定も容易でなかったため、装置の普及はそれを専門とする大学や一部の企業の研究室に限られていました。

 

 そのような状況下で、この非常に役にたつ光散乱法を一人でも多くの人に知ってもらおうと、加藤忠哉氏(当時、三重大学教授)を中心とした世話人の熱意と我が国の光散乱測定装置メーカーの草分けである大塚電子株式会社の支援により「散乱研究会」が1989年に発足し、第1回研究会が東京で開かれました。 以来、研究会は年1回、四半世紀の長きにわたり活動を続け、2013年に開催された第25回研究会までに、通算124件の講演と累計3,000名の受講者を数える一大研究会となっています。

 

 この研究会が長年にわたり継続している理由として、第11回散乱研究会から参加者にテキストを事前配布していること、プログラムを午前と午後に分けて午前は基礎講座、午後は話題提供や研究例を含む講演会という形式にしていることがあげられます。これにより、受講者は講義内容の予習をすることができるようになり、また、基礎講座は静的光散乱法、動的光散乱法、電気泳動光散乱法が3年周期で繰り返されるので、一連の基礎講座を聴講するリピーターも多くいます。受講者の意見には何度聞いても難しいといった厳しい意見や、毎回新しい知識を得ることができるから楽しみであるといった積極的な意見までさまざまです。いずれにしても、「散乱研究会」は参加者の根強い人気に支えられて今日に至っています。