プログラム

■ 第25回散乱研究会(2013年11月)

※研究会開催当時の所属を記載
  散乱基礎講座「電気泳動光散乱の基礎」
講師:木村 康之 先生 (九州大学大学院 理学研究院)
コロイドの代表的物性量であるゼータ電位を測定する代表的な方法である電気泳動光散乱法について、その背景となるコロイドの電気的物性、動的光散乱法等を含めて解説する。また、従来の測定法では直流あるいは低周波数の交流電場が用いられてきたが、本講演では、その発展として広い周波数での測定を可能にする新しい測定法についても紹介する。
  顕微動的光散乱法による濃厚系の粒径分布測定
講師:廣井 卓思 先生 (東京大学 物性研究所中性子科学研究施設)
溶液の粒径分布を測定する手法である動的光散乱法は、白濁している試料や強い吸収を持つ試料を原液のまま測定することが出来ない。この問題点を解決するために開発した、顕微鏡下で動的光散乱を取得する新しい測定手法を紹介する。
  DNA担持ナノ粒子の新奇な物性と機能
講師:前田 瑞夫 先生 (独立行政法人 理化学研究所 前田バイオ工学研究室)
近年、生体成分のラベル化のために、金ナノ粒子や量子ドットのようなナノサイズに特有の光学的性質が利用されている。もうひとつ重要な点はナノサイズの粒子がもつ大きな比表面積であり、多数の生体分子が固定されることにより高感度化が達成される。しかし生体成分をナノ粒子に固定する意義はこれらにとどまらない。それぞれの機能の単純な足し算では予測できない特異な性質が現れることがある。本講演ではナノ粒子の表面にDNA鎖を密に固定化したときに現れる新奇な物性を散乱法を中心とした様々な手法で解析してきた筆者らの研究について紹介する。
  微粒子、ナノ粒子の液中凝集・分散挙動の制御と評価、計測法
講師:神谷 秀博 先生 (東京農工大学 生物システム応用科学府)
材料素材、医薬品など、様々な用途で用いられる機能性ナノ粒子、微粒子の液中での凝集・分散挙動の制御は、重要な基盤技術である。基盤技術としての分散制御技術の概要を紹介しながら、凝集・分散状態やその制御機構の評価法として有効な光散乱を用いた事例を概観する。
  第25回を迎えた散乱研究会を振返って
講師:加藤 忠哉 先生 (三重大学 名誉教授)
動的・静的な高分子鎖のふるまいを解析する散乱測定に興味を持つ研究者に交流の場を提供することを目的に、1989年5月に第1回が開催されてから今回で25回目を迎える。この研究会の変遷をお話しする。
第24回へ  第26回へ