プログラム

■ 第26回散乱研究会(2014年11月)

※敬称略 研究会開催当時の所属を記載
  散乱基礎講座「静的光散乱法」
講師:佐藤 尚弘 先生 (大阪大学 理学研究科)
光散乱法は、人間の目では見えない非常に小さい分子や微粒子の重さやサイズなどを計測する手法である。光散乱法では、顕微鏡とは違って、観察対象の拡大図が得られるわけではなく、その測定結果の解釈に専門知識が必要である。本基礎講座では、光散乱法の全くの初心者からある程度測定経験のある方までを対象に、静的光散乱法の基礎を解説する。
  光散乱および小角X線散乱法による高分子および高分子複合体の構造解析
講師:寺尾 憲 先生 (大阪大学 理学研究科)
光散乱および小角X線散乱法は溶液中における高分子の形態の決定法として最もよく用いられる。本講演では直鎖、環状鎖、分岐鎖、そして高分子複合体について、最新の理論を用いた実際の解析例を紹介する。
  タンパク質結晶化過程におけるタンパク質分子の拡散係数測定
講師:田中 晋平 先生 (広島大学 総合科学研究科)
巨大で異方的なタンパク質分子の結晶化には、しばしば準安定で規則性の低い集合構造が付随する。本講演では、準弾性光散乱法および蛍光相関分光法を用いて結晶化の際のタンパク質分子の拡散係数を測定し、この準安定構造の特性を探ることについて、これまでの我々および他の研究グループの成果を紹介する。
  高輝度X線を用いた最先端の散乱測定手法
講師:篠原 佑也 先生 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
X線源の高輝度化に伴い、より小さなビームサイズ・発散角のX線の利用や、共鳴散乱やX線のコヒーレンスを活用した散乱測定手法の開拓が進んでいる。またX線自由電子レーザーでは質的に全く異なるX線も利用可能となる。本講演では高輝度X線を活かした散乱測定手法の現状と展望について概観する。
  透明ポリマーの光散乱制御による高透明化
講師:谷尾 宣久先生 (千歳科学技術大学 大学院光科学研究科)
フォトニクス分野において、透明ポリマーの高透明化が重要な技術課題となっている。ポリマーの高透明化のためには、化学構造と高次構造の両面からの散乱制御が必要である。本講演では、透明ポリマーの不均一構造制御による高透明化および本質的透明性の予測法について述べる。
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