プログラム

■ 第27回散乱研究会(2015年11月)

※敬称略 研究会開催当時の所属を記載
  散乱基礎講座「動的光散乱の基礎と応用」
講師:柴山 充弘 先生 (東京大学 物性研究所)
動的光散乱法はコロイドやペイント、界面活性剤、高分子溶液、ゲルなどの研究や材料開発などで必須の手段である。しかしながら、多くの人にとって動的光散乱はなじみがないか、知っていてもブラックボックス的な利用にとどまっているのが現状である。本基礎講座では、動的光散乱法の原理と基礎となる理論を説明したあと、測定法の紹介、データ解析の実演・実習をおこない、さらにはいくつかの応用例を紹介することで、動的光散乱の有用性を十分に理解していただく。
  光コヒーレンス動的光散乱法 -空間変化する動態の計測-
講師:泉谷 悠介 (大塚電子株式会社)
低コヒーレンス光源とマイケルソン干渉計を組み合わせた新しい動的光散乱法を紹介する。本手法では、光源の短い時間コヒーレンスのため、光軸方向に干渉領域が限定される。このことを用いて濃厚な媒質中の散乱体積を限定することによって、単散乱光を抽出できるため、濃厚媒質の粒質キャラクタリゼーションを行うことができる。さらに,スペクトル領域法を導入することによって、媒質深さ方向のブラウン粒子の動態をワンショット計測することが可能になる。
  特異な構造を有する両親媒性化合物が形成する会合体のナノ構造解析
講師:吉村 倫一 先生 (奈良女子大学 研究院自然科学系化学領域)
本講演では、ジェミニ型やトリメリック型界面活性剤、単一鎖長非イオン性界面活性剤、両親媒性デンドリマー、両親媒性多糖オリゴマーなど、特異な構造を有する両親媒性化合物が水溶液中で形成する会合体のナノ構造について、光散乱や小角散乱、レオロジー、電子顕微鏡などの手法を用いた解析例を紹介する。
  レーザー光を用いた粒子径分布の測定について
講師:芦澤 一英 先生 (武蔵野大学薬学部客員教授 SSCI研究所代表)
医薬品粉体の粒子径測定ではレーザー回折散乱法が使用され、DDS製剤などのナノ粒子径測定には動的光散乱法が使用されている。講演では、レーザー光を用いたマイクロ粒子並びにナノ粒子径の測定例などについて紹介する。
  高分子ミセル医薬:その特徴と将来展望
講師:片岡 一則 先生 (東京大学大学院工学系研究科・医学系研究科)
本講演では、薬物や遺伝子の体内分布を時間的・空間的に正確に制御する事によって、「必要な時に、必要な部位で、必要な治療」を最小限の副作用で達成する高分子ミセル型ナノキャリアの特徴と将来展望を紹介する。
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