プログラム

■ 第28回散乱研究会(2016年11月)

※敬称略 研究会開催当時の所属を記載
  光散乱基礎講座「電気泳動光散乱の基礎」  Q&A
講師:木村 康之 先生 (九州大学大学院 理学研究院)
コロイドの代表的物性量であるゼータ電位を測定する代表的な方法である電気泳動光散乱法について、その背景となるコロイドの電気的物性、光散乱法の基礎を含めて解説する。また、従来の測定法では直流あるいは低周波数の交流電場が用いられてきたが、その発展として広い周波数範囲での電気泳動易動度測定を可能にする測定法についても紹介する。
  電気泳動移動度からゼータ電位の求め方  Q&A
講師:大島 広行 先生 (東京理科大学 名誉教授)
電気泳動移動度からゼータ電位を求める様々な計算式がある。微粒子のサイズと形、ゼータ電位の大きさ、さらに、表面に高分子層がある(柔らかい粒子)か、ない(剛体粒子)かに応じて電気泳動移動度の式は異なってくる。与えられた条件のもとで、どの式を用いるべきかについて解説する。
  温度勾配がある系におけるレーザ干渉法を用いた分子拡散測定  Q&A
講師:喜多 理王 先生(東海大学 理学部物理学科)
高分子、コロイド、ミセルやゲルネットワークなど、光散乱法は分子の広がりや拡散係数などを調べるための強力なツールである。通常は温度制御された熱的に平衡な状態で測定が行われる。本講演では溶液に温度勾配がある状態に着目し、レーザ干渉法による分子拡散を計測することで、温度勾配によって濃度勾配が形成される現象について紹介する。非平衡系における輸送現象に関する研究であり、生体高分子等において新たな知見が得られており応用も期待される。
  刺激応答性ヒドロゲル微粒子の開発に必要な評価技術  Q&A
講師:鈴木 大介 先生 (信州大学 学術研究院繊維学系 化学・材料学科)
外部環境に応答して物理化学的性質を変化可能なスマートヒドロゲル微粒子は、コロイドとゲルとしての特徴を併せ持つ。本講演では、演者がこれまでのゲル微粒子開発で培ってきたゲル微粒子の評価技術を概観し、特に散乱法によるゲル微粒子の評価法の有用性について講演する。
  水溶液中のDDSナノ粒子の散乱法による構造解析  Q&A
講師:櫻井 和朗 先生 (北九州市立大学 国際環境工学部 環境生命工学科)
薬物送達に用いられるDDSナノ粒子は、高分子が共有結合以外の相互作用で緩やかに結合して自己組織化している「超分子集合体」である。高分子に限らず、両親媒性の低分子化合物からなるミセルもDDSに利用される。最近では顕微鏡法や計算化学も飛躍的に進歩し、複雑な階層構造を可視化することも可能となっている。しかし、溶液中でのそのままの姿を観測するには溶液中からの散乱を測定することが不可欠である。 本講演では、筆者の最近の研究を中心にDDS粒子からの散乱による解析の手法を紹介する。
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