光散乱Q&A

■ 光散乱Q&A(第32回)2020年11月実施

 

● 光散乱基礎講座「静的光散乱法」寺尾 憲 先生

Q.q=2π/λ*2sin(θ/2)の2πに物理的あるいは幾何学的な意味があるなら教えてください。


Q.分子量1000万以上の直鎖ポリマー(水溶性)の重量平均分子量を、既存のSLSの装置で正しく評価することは可能でしょうか。


Q.仮に分子量1000万以上の直鎖ポリマー(水溶性)の重量平均分子量を評価可能な場合、測定時や解析時における注意点・コツなどがあればご教示頂きたいです。


Q.散乱体積は角度によって,どのように変化するのでしょうか。
角度ゼロが一番体積が大きいのでしょうか。


Q.溶液中で糸まりか、棒に近いか、簡便に理解する方法はありますか。粉体上の高分子を溶解させ方に、結構依存すると思います


Q.<S^2>z のz軸はサンプルと装置の図でどの方向ですか?


Q.Zimmプロットの各データ点にばらつきがあるとき、どの程度まで許容されるのでしょうか、またそのときに考えられる対策はどういったものになるのでしょうか


Q.遠心分離でダイマーや凝集体をとりのぞくとき例えばどの程度のGをかけて分離されるのでしょうか


Q.粒子のサイズ・形状という点で、光散乱とX線散乱の使い分け・得られるデータの違いのイメージを簡単にまとめて紹介いただけますでしょうか


Q.混合溶媒系の静的光散乱は簡単ではない。動的測定で影響を受ける解析量は何ですか?


Q.色がある(蛍光を発する?)場合の高分子の分子量を精確に測定する場合には何に気を付けたらよいでしょうか?


Q.メタノールを添加した場合は、ちょっと簡単にはいかなくなるとのお話がありましたが、動的光散乱の場合も、影響を受けるのでしょうか?


Q.動的光散乱の併用について角度90°の粒径分布を見せて頂いたのですが、他の角度で測定したとき、平均粒径や分布幅が変わる可能性はあるのでしょうか。


Q.ミセルなど濃度によって構造が異なる(球状、ひも状など)場合は静的光散乱法による解析は難しいのでしょうか?


Q.サイズ排除クロマトグラフィーの分析前にサンプルをフィルタリングしなくてはならず(孔径0.45μm等)、1000万を超えるような分子は排除されてしまう気がしますが、このような高分子もSECで分離し、MALSで分析することはできいないでしょうか(sakamoto (Unverified) asked "サイズ排除クロマトグラフィーの分析前にサンプルをフィルタリングしなくてはならないと思うのですが(0.45μm")


Q.覆われた微粒子や高分子ミセルを測定する場合,回転半径(SLS)と流体力学半径(DLS)の比や差分などから高分子の層の厚みや高分子鎖の広がりの程度を見積もることは可能でしょうか


Q.今回の物理パラメータで分子量分布は議論できますか


Q.濃厚な高分子溶液でも散乱角を変えることで、SLSやDLS測定できますでしょうか


Q.散乱強度から、形状因子、構造因子、浸透圧縮率がわかることは、目からうろこでした。ただ,形状因子、構造因子、浸透圧縮率それぞれのビジュアルでのイメージがいつもわかりません。簡単に言葉でそれぞれを説明してほしいです。


Q.動的光散乱測定器しかもっていません。90℃散乱強度結果から、分子間相互作用,引力的か斥力的かを評価できないでしょうか。濃度を変化させることはできます。
(または浸透圧縮率を高分子溶液で実験するのは簡単でしょうか。測定したい高分子は分子量分布もあります)


Q.SECによる分析が困難(カラム吸着してしまうイオン性ポリマーや溶解性が低いポリマー)なポリマーの分子量分布を光散乱法で解析は可能ですか。
もしくは、DLSによる粒径分布の評価結果は分子量分布との関連性についてどの程度信頼できますか。


 

● 「放射光X線を用いた水溶液中の高分子ミセルの構造解析」秋葉 勇先生

Q.片岡先生の文献のところで、DLSでサイズを判定しているところに不安があるという話ですが、どのような点でDLSでのサイズ判定に問題があるのでしょうか


Q.今回のような測定・解析は放射光でSAXSを測定する環境があれば出来るものなのでしょうか。それとも秋葉先生にお願いしてやっていただく必要がある特別なものなのでしょうか。


Q.臭素以外の元素で同じようなことが可能な元素はあるのでしょうか。


Q.実際に、大きさの変化以外のミセル構造の変化形状で薬効にも差が出てくるのでしょうか?具体例とかあれば知りたく思いました。


Q.直径約50nm粒子のCore/Shellの構造を調べるときには、SAXSではq値の領域を絞っても難しいのでしょうか?


Q.ASAXSがハードマターだけでなくソフトマター系でも使われるようになってきたということですが、ソフトマター系の場合で吸収端を使える元素はご紹介いただいたBrのほかに何がありますか?(どのような例がありますか?)


Q.シンクロトロン前提の研究をされていますが、全部シンクロトロンで測定されていますか?それとも当たりをつけるために実験室SAXSを利用されていますか?もし実験室SAXSを使われているならシンクロトロンの前検討としてどんな使い方をされていますか?


Q.ASAXについての質問です。波長の連続性がいまいち分からなかったのですが、波長を変化させたときに、コアの中に入っている臭素からの情報しか変化しないから、ミセルのコアについての情報がより鮮明に分かるということなのでしょうか。


Q.コア-シェル粒子のSAXSプロファイルをコアーシェル粒子の形状因子にフィッティングするときなどにおいて、必要となる溶媒やシェルとコアの密度に関する情報はどのように見積もればよいのでしょか?また、フィッティングに使うパラメーターはどれを固定していけば信頼できる結果が得られるのでしょうか。またその手順を教えてください。


Q.高分子ミセルの構造(モルフォロジー)変化を確認されていましたが、形状確認にはモデルを導入して計算などを行っているのでしょうか?あるいは、プロファイルを見るだけである程度予測可能なのでしょうか?


Q.水が溶媒だと1.5Åの波長が通らないとの表現がありましたが、具体的にはどういうことでしょうか?


Q.測定対象となった高分子ミセルの作り方、できたものの種々の分布、出来損ない、など 対象物がどの程度 確かなものかの分析結果を知りたい。出来損ないを除去しているのであれば、それはどのような方法で行うのでしょうか。
例えば、臭素原子を持つ有機化合物類をミセルに内包する際、図に描かれているようには意図どうりにはミセル化することは容易くないと思う。元の正規論文には書かれているのかもしれないが。対象物のcharacterizationを示してもらえると結果への信頼感が増す。


 

● 「ナノ構造体を用いたナノ物質光マニピュレーション法の開発」東海林 竜也先生

Q.微粒子中の高分子濃度を70wt%と求められていますが、どのようにして見積もられたのでしょうか?


Q.集光レーザー光ピンセットで捕まえられる粒子の大きいほうのサイズ限界はどれぐらいですか?また、溶液の粘度・種類等に制限はありますか?


Q.Å単位の分子でのプラズモン光クロマトグラフィーは可能でしょうか?


Q.今日の光ピンセットのご報告では、近赤と可視の組み合わせでしたが、光ピンセットとラマン分光の励起光を同一波長で行うことはできないのでしょうか?


Q.補足された粒子の動画からは、補足された粒子のブラウン運動が観測されているようですが、このブラウン運動の観測は粒子あるいは粒子をプローブとした材料の分析法として重要なものになりえますでしょうか?


Q.二重リングを形成するために必要な分子の大きさはどの程度ですか(二重リングを形成するために必要な)


Q.ブラックシリコンの吸収は問題にならないのでしょうか?

Q.アスペクト比の大きなものを光ピンセットでトラップすると、一方向に並んだりしますか?

 

● 「光散乱法によるゲル研究の歴史と展望」柴山 充弘先生

Q.ゲルの静的成分,動的成分に散乱強度を分ける手法を,高分子溶液の変性に使用できますか。

Q.ゲル化点の時系列測定に大変興味があります。解析は難しいでしょうか

Q.ゲル化点で様々なサイズがあるのに、ゲルになってしまうとサイズが一つに収束するのはなぜでしょう。また同様な例は、ゲル化以外にもありますか

Q.レオロジー測定のようにガラスゴム転移もDLSで解析できるでしょうか

Q.プローブ拡散系で、顕微DLSにてプローブのみに当てて測定するのは可能でしょうか。もし可能ならどのような結果を期待できるでしょうか

Q.ミクロゲルの濃厚領域ではサンプル位置依存性はないのでしょうか

Q.これからもゲル(だけでなくソフトマターでも)散乱を使った観測・解析法で、どのような有用なものが発展して来そう、有望そうでしょうか?

Q.勉強不足で恐縮ですが、べき乗則が成立するDLSデータのスロープ値と網目構造とは理論的に関連付けられているのでしょうか?

Q.散乱角によって自己相関関数に違いはあるのでしょうか

Q.樹脂溶液中に存在するマイクロゲルを動的光散乱での粒度分布のようにサイズ別に測定する方法はあるのでしょうか

Q.ゲル状態に添加剤を入れると粘度が低下する現象に於てマイクロゲルになっているのではないかと感じていますが、DLSで現象を解析することは可能でしょうか?

Q.恐縮ですが、理想ゲルですとスペックルが観測されない理由を改めておしえていただけますでしょうか

Q.ゲルの解析方法をぜひ詳細にレクチャーして頂きたいです

Q.AIとの絡みで、ゲル解析に進化とかあるのでしょうか?

Q.柴山先生のゲル研究は、奥が深いので、今後もぜひ散乱研究会にて、定期的にレビューして頂きたいです

Q.拝聴させていただきました。世界のゲル研究、散乱研究を先導されてきた先生の輝かしいご業績に改めて感銘を受けました。引き続き、中性子分野でのますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

Q.資料の21ページ(ゲルのガラス化)にて、ジビニルベンゼン100%では初期(1)の緩和が1段階なのに対して、スチレン100%では初期(1)の時点で2段階の緩和が見られるのはなぜでしょうか? 宜しくお願いいたします。

Q.プローブ拡散DLS法の記載の中で、モノマー濃度依存性によりプローブの拡散は遅くなり、架橋剤濃度依存性によりプローブ自身の拡散はなくなりゲル網目の拡散が顕著になるとあります。
後者の減少は、架橋剤の長さ、架橋度にも影響するのでしょうか。例えば、架橋剤が長くなると、また架橋度が多くなるとゲル網目の拡散が大きくなるなど。ハイドロゲルの場合についても同じことが言えるでしょうか。

 

● 散乱研究会全体について

Q.昨年から本格的に光散乱による評価を始め、並行して理論についてもほぼ独学で学んできました。
教科書は数式ばかりで理解しづらく、また「実際の評価ではどうなのか?」「出てきた結果が妥当なのか?」などは言及されていないため、今回のセミナーで光散乱を専門とされている先生方からお話を聞くことができ、とても勉強になりました。
また、オンライン開催で質問もしやすく、今まで疑問に思っていたことを質問することができました。本当にありがとうございました。また来年以降も参加させていただきたいです。

Q.SLS、DLSなどローテーションでの講義を予定されているとのお話でしたが、DLSのご講義、セミナーを早い時期に聴講させていただきたいです。よろしくお願いいたします。