光散乱Q&A

■ 光散乱Q&A(第33回)2021年11月実施

 

● 光散乱基礎講座「動的光散乱法」則末 智久先生

Q.39枚目のスライドの上段右側のグラフは、上の数式をプロットしたものになっています。ところが、上段左と上段真ん中のグラフは、上の数式に対応するグラフになっていないように見えます。単なるプロットミスか、私が何かを勘違いしているか、どちらでしょうか?私の考えが正しければ、上段左のグラフでは、黄色と白のプロットが重なるはずだと思います。


Q.遅い緩和の場合、自己相関関数の切片が低いのはどうしてでしょうか。


Q.緩和時間の分布において遅い緩和の場合、切片が低いように見られますが、これはなぜでしょう。


Q.一つ気になった点は、はじめの方でシミュレーションで波の様子を示されましたが、入射波が散乱波と重なっているように見えて、それが測定に影響を与えているような印象を持ちました。


Q.異方性の高いサンプル(ロッド状、シート状)であることが事前にわかっている場合、DLSからの情報はどのように解釈できる( or しなければならない) でしょうか?


Q.テキスト39ページにあるように、速い緩和が速すぎると見えないので、片対数プロットは直線に従い、単分散のように見え、さらに悪いことにはその片対数プロットの傾きからは、微量だけれども散乱能の非常に高い大きい粒子成分の減衰速度が求まってしまうことに注意が必要と思います。


Q.散乱スペクトルを求めるために粘度の情報が必要になると思います。希薄な溶液であっても粘度がとても高まってしまうような粒子が含まれる場合、溶媒が水であれば水の粘度として計算して良いものでしょうか。


Q.溶媒の粘度が高くなるにつれて、粒子のブラウン運動は抑制されると思われますが、粘度の高い溶媒中であってもDLS測定は可能であると解してよろしいでしょうか。また、適切な溶媒粘度の目安(2桁mPa・s以下など)がありましたらご教示ください。


Q.散乱理論のページところで、X線散乱において自由電子からの散乱と記載がありますが、金属でなくても自由電子というものがあってそれが散乱するという認識で良いのでしょうか


Q.ページ45について、どの程度大きな粒子または大きな分子の場合に、濃度依存性を確認するべきなのでしょうか?


Q.実測定では、τ=0のときg(1)(τ)が1よりも小さい値の場合がほとんどなのですが、このサンプルは固体的(架橋点が多い?)と考えられるのでしょうか?架橋点は動きにくいのでτ=0では1になるイメージを持っていたのですが、正しいイメージを教えていただければと思います。


Q.濃度0の外挿で、DLSとNMRそれぞれ算出したDが異なる値でした。どのような原因が考えられますでしょうか?


Q.サンプル濃度を変化させるとg(1)(τ)の最大値が変化する(大きくなる場合、小さくなる場合)のですが、理由を教えていただけませんでしょうか?


Q.拡散係数の散乱角度依存性についてですが、粒子内部で分子は動いていない剛体球でも依存性が見られると思いますので、有限角度での拡散係数がゼロ角度でのそれと違うのは、粒子の内部運動が反映されているとは必ずしも言えないのではないでしょうか?(散乱光強度の角度依存性がDLSの減衰速度に影響を与えているのが原因と思います。)もちろん、内部運動している散乱体では、内部運動も減衰速度に影響すると思いますが。


Q.緩和速度もしくは拡散係数の角度依存性についての質問なのですが, 本来の拡散係数を得るために小角部への外挿を行う解析において, これは静的光散乱における形状因子を1にするのと同じイメージでしょうか. 対象とする大きいサイズの球形粒子内部の構造が時間経過によって変化しているということでしょうか?


Q.キュムラント解析結果で示される粒径と、各粒度分布算出法(CONTIN, Marquardts, NNLS, Unimodal)から算出される粒径とは大きく異なることがあると思います。この場合はどちらの粒径を採用すべきでしょうか。また、粒径分布では体積分布や個数分布などの表し方があり、D50の値やD90などありますが、一般的に議論されるのはD50でしょうか?


Q.覆われた微粒子や高分子ミセルを測定する場合,回転半径(SLS)と流体力学半径(DLS)の比や差分などから高分子の層の厚みや高分子鎖の広がりの程度を見積もることは可能でしょうか


Q.DLSの解析法について光子相関法と周波数解析法の2種が有ると思います。それぞれのメリット・デメリットを教えていただきたいです。


Q.スライドP13に散乱理論の式がありますが、ミー散乱もここから導出できるのでしょうか。


Q.動的光散乱式粒度分布測定装置に関してですが、測定対象物(粒子)が入射光角度依存性が強く、安定した測定ができずに困っています。具体的には、大塚電子製DLS(ELSZ-1000)で測定しておりますが、Z軸や希釈濃度に対する依存性が強く最適条件設定が困難になります。
1.そもそも入射光角度依存性が強い粒子の特徴はどのようなものでしょうか?
2.そのような粒子を安定的に測定するための前処理条件もしくは測定条件設定はどのように行えば良いでしょうか?


Q.測定試料の前処理としてシリンジフィルターを通しますが、フィルターを通過しないほど分子量の大きな試料は動的光散乱での測定は不向きという理解になりますでしょうか。また、散乱を利用した測定となるため、透過率が99%を超えるような極希薄濃度下での測定も好ましくないという理解になりますでしょうか。


Q.散乱強度が十分にある(ピンポール0.2, シャッター25%, Θ=45の条件で、30000程度)にも関わらず、自己相関関数が立ち上がらず(G2の指数関数的な減衰がみられず、平坦になる)、粒子が未検出になるサンプルがあります。検出できていない速い緩和成分が含まれていると考えるべきですか。それとも装置の光学系に問題が生じている可能性がありますか。もしくはそれ以外の原因が考えられますか。


Q.伸長指数関数のβには物理的な意味があるのか。1より小さければ分布が広いという解釈が出来そうだが、1より大きくなる場合は何か解釈することは出来るのでしょうか


Q.濃度によって拡散係数が変化するため濃度0での拡散係数を求める必要があると講演されていました。講演では、濃度によって変化するのは粒子間の相互作用等で変化すると説明されていたと思いますが、これは光学測定に影響するのか、それとも現実的に同じ粒子(高分子、タンパク質)でも濃度が異なると拡散係数が異なるという意味なのでしょうか。


Q.拡散係数の角度依存性について。広角になるにつれ(内部構造を反映して)拡散係数が大きくなるのはなぜですか?拡散係数の濃度依存性について相互拡散についてもう少し詳しく教えて頂きたいです。また、その場合、濃度上昇に伴い、相互拡散係数が大きくなるのはなぜですか?


Q.溶液中に分散しているサイズの小さいヒドロゲルについて,粒径測定装置にて光散乱させた場合は検出されたものとしては粒のサイズとそのネットワークについて散乱している可能性があると考えるものですか?


 

● 「動的光散乱法による高分子ゲルの協同拡散係数の解析」酒井 崇匡先生

Q.重なり合い濃度付近で形成されたゲルのDLSでは不均一性が見えますか。


Q.分子サイズが混合されている場合の重なり合い濃度は,そろっているものと比べて何を注意する必要ありますか。


Q.不均一性は、ゲル化以外の影響はありますでしょうか?


Q.スライド32/82に記載の拡散係数Dの意味ですが、ゲル粒子自体の拡散係数なのか、膨潤に伴うゲル粒子内の拡散係数(架橋点の拡散)なのか教えて戴けますか。当日の講演では説明されていたのかもしれませんが、生憎視聴できなかったので、ご教授戴けましたら、ありがたいと存じます。


 

● 「精密ラジカル重合を用いた刺激応答性架橋高分子の設計」伊田 翔平先生

Q.疎水 親水モノマー組み合わせでは、それぞれで凝集構造を持っているのではないでしょうか。DLSにはひっかからない不均一性になるのでしょうか。


Q.力学応答で、架橋ドメインを持つ親水疎水ゲル。架橋ドメインサイズは変わっても、架橋そのものの本数は変化しなければ、架橋をささえる弾性率は変化しないのではないでしょうか。濃度そのものは変化していないでしょうか


Q.架橋前ポリマーの連鎖性・一次構造は、どのような分析でどの程度把握されているのでしょうか?


Q.スライド20のゲルは、高温で架橋剤を入れないと物性は違いますか?PNIPAMは高温で物理架橋しているので、化学架橋は必要ないような気もします。


Q.加熱状態でミクロゲルがシュリンクして親水鎖は伸張しているときに力学特性がよい(破断までの伸張率が高い)ことの理由は、どのように考えればよいでしょうか?


Q.PNIPAMの凝集体は、内部の濃度が高いほど合体(成長)しにくいことがわかっています(粘弾性効果)。腕の本数を増やしたり、末端に疎水基を導入すると、高温で凝集体の内部濃度がより高くなり、凝集体の成長がより起こりにくくなったのではないでしょうか?


 

● 「動的光散乱法のステイト・オブ・ザ・アート」岩井 俊昭先生

近日掲載予定です。しばらくお待ちください。