● 光散乱基礎講座「電気泳動光散乱の基礎」木村 康之先生
A.明確な区別は難しいですが、多重散乱があるかないかがその1つとなります。
A.非球状粒子の評価には、異方性を検出する偏光法なども合わせて解析する必要があります。
A.交流電気泳動測定法の電場依存性や粒子追跡法を用いれば可能です。
A.レーザー光などの直線状ビームを入射した際にその軌道が広がり、強度の減衰が大きいときに多重散乱が起きているとみなすことができます。
A.例えば粒子や合成高分子ですと、表面電荷分布が一様と仮定すると粒子サイズ分布および分子量分布に対応してゼータ電位が分布します。
A.ゼータ電位自身は1粒子の特性ですが、実際の測定では散乱体積内での平均情報になるために、濃度が濃くなると相互作用により変化する可能性はあります。
A.我々はパワースペクトルを測定するか、実際の光信号をアナログ演算しています。市販装置(大塚電子)では、時間自己相関関数を取得し、フーリエ変換によりパワースペクトルを算出しています。
A.ともに個々の構成成分から発生する散乱の干渉を観測していますが、静的散乱では時間平均された構造の情報を取り出すのに対して、動的散乱では時間的な変化を観測するものです。信号自体には両方の情報が含まれていますが、解析の際にいずれかの情報を落としています。
A.粒子によるゼータ電位の分布による効果と考えています。
A.加える電場の周波数を高くすることで、塩濃度の高い試料でも電極での界面分極や電気分解の影響を少なくして測定が可能な点があります。
A.可能ではないかと思います。吸着量が反映される可能性があります。
A.勿論,レーザでも可能です。本研究で用いているセルの光路長が長いためにバックグラウンドの影響が大きくなるためLEDを使用しています。
A.数学的には無限までの積分が必要ですが、中心から離れた部分では強度がほとんどゼロになるために、ホログラム像の取得範囲を適正にすることで、精度良い測定が可能となります。
A.2つの量の積の平均を一般に相関関数と呼びます。講演では電場の時間相関関数を説明しましたが、時間差が小さい場合には両者の積は常に正ですのでその平均は正になりますが、時間差が大きい場合には負になることがあるため、次第にその平均はゼロに近くなります。散乱強度の場合は平均強度の周りの揺らぎが正負と変動するので、時間の減少関数となります。
A.高分子電解質でもイオン交換により酸、あるいはアルカリにしたのちに中和することでいわゆる無塩系を実現することは可能で、そこでの測定は可能です。
A.ゼータ電位は物体の表面電位であり、海水中では物体間の静電斥力が遮蔽されるため、通常不安定になると考えられます。実際、河川で運ばれてきた微小の帯電鉱物が河口で、塩水と接触することで沈降するため堆積が起こっています。
● 「Water-in-Oil型液滴の電気泳動移動度の決定因子」植松 祐輝先生
A.静電気由来です。水滴電荷は必ずプラスになり、実験的に大きさも再現性あるものが出来ています。
A.電圧を数kVにすれば泳動可能ではないかと思います。顕微鏡法では実験的に確認しています。
A.近年、そのような研究が活発です。流れができれば、分子の移動が拡散以外で起きますので、反応は促進すると思います。
A.極性有機溶媒であるアルコール(誘電率20程度)ならDLVO理論は成立すると考えており、誘電率が一桁の無極性溶媒になると塩の解離が起こりにくくなり、DLVO理論を適用するのは難しくなると考えています。
A.サイズは、数マイクロメートル以下にしないと、密度差の影響で不安定化することが多いです。密度差がない液体なら、この限りではありません。
水ー液体CO2系であると、温度や圧力の条件が従来のコロイド系と大きく異なると思います。密度差や界面張力、表面電荷密度、外側溶媒の粘性係数もエマルジョンの寿命の決定因子になると思います。
● 「濁った媒質での動的光散乱」石井 勝弘先生
A.多重散乱成分が寄与するとゆらぎは速くなりますので、より小さく見積もられることはあり得ます。
A.G1成分は極僅かで、G2成分は全光路長分が含まれるため無視できません。ここでは、周波数変調することで分離しています。
A.壁面から数µmでは差異を生じますが、通常のDLS測定ではより広い範囲を測定対象としますので影響しません。
A.どのぐらいの濃度から影響を受けるかは、測定光学系にも関係するので、いくら以上ということは難しいですが、5%や10%のPS粒子は多重散乱の影響はあると考えたほうがいいです。
A.今回示した実験データのcoherence factorが1よりもかなり小さくなっているのは、実験で使ったレーザーの揺らぎではないかと考えています。
A.100nm粒子の散乱断面積は、59nmの4倍、23nmの140倍です。100nm粒子の粒子が増えると、小さい粒子の散乱光が相対的に弱くなって測定が難しくなります。
A.入射光ではなく散乱光の位相ずれという理解でいいです。複数回散乱された光は、散乱されたすべての粒子の位置の変化の影響を受けるので、位相ずれ(揺らぎが)大きくなります。近似的には、散乱回数倍になります。その結果、散乱光の揺らぎが早くなります。
A.高分子の大きさと濃度にもよりますが、高分子溶液の測定は可能です。測定時間は、測定精度を求めないならば、1分程度でも可能です。測定時間が長い方が精度は良くなります。
A.上記と同回答となりますが、高分子の大きさと濃度にもよりますが、高分子溶液の測定は可能です。測定時間は、測定精度を求めないならば、1分程度でも可能です。測定時間が長い方が精度は良くなります。
A.上記と同回答となりますが、高分子の大きさと濃度にもよりますが、高分子溶液の測定は可能です。測定時間は、測定精度を求めないならば、1分程度でも可能です。測定時間が長い方が精度は良くなります。
A.ミセルの大きさと濃度にもよりますが、可能です。濁るものの測定は可能です。
● 「高分子ミセルの形成と崩壊」佐藤 尚弘先生
A.高角では濃度依存性はほぼ無視できますが、低角では無視できません。(したがって、モル質量や回転半径には誤差が含まれています。)ミセルの形成動力学は高分子濃度に依存しますので、濃度外挿によって粒子間干渉効果を除く方法は使えません。粒子間干渉因子を理論を使って計算して補正する方法がありますが、複数の散乱成分を含む系の計算は困難です。今回のお話では、残念ながら粒子間干渉効果は考慮されていません。
A.SAXSの散乱関数は、SLSと同様に、粒子間の干渉効果の影響を受けます。その意味では溶液の希釈操作は必要です。ただし、上のご質問の回答のように、ミセルの形成動力学の調査には溶液希釈法は使えません。
A.テキストのP4-15ページのトップやP4-17ページのトップのグラフより、回転半径で20~200 nm(C→S)、40~70 nm(S、 C→V)です。
A.低分子の界面活性剤が形成するミセルのモルフォロジー変化は高分子ミセルよりもずっと速いので、その動力学を調査することは容易ではありません。今回のようなストップド・フロー法を用いたSAXS測定が低分子界面活性剤系でも行われていますが、過程が速すぎて変化を追うことは困難でした。ただし、高分子ミセル系の動力学の結果が参考になると思います。
A.Flory-Huggins理論によれば、第2ビリアル係数A2とχパラメータとは、A2 = (1/2 - χ)v^2/V(solv)の関係にあります(vは高分子の比容、V(solv)は溶媒のモル体積を表す)。ただし、Flory-Huggins理論で使われている平均場近似は、希薄領域ではよい近似ではないので、実測のA2からこの式を用いて見積もったχの値は、別の方法で求めた値と必ずしも一致しません。
A.いいえ、同図中の実線は、ランダムに切れつつある円筒と切れてできた球が混合したときのz平均回転半径と重量平均モル質量の理論値から得られた理論線で、厳密には直線ではありません。同様に、点線の曲線も、端から切れている円筒と切れてできた球の混合物に対する理論線です。理論の詳細は、簡単には説明できません。テキストのP4-8ページの文献7)を参照してください。