光散乱Q&A

■ 光散乱Q&A(第36回)2024年11月実施

 

● 光散乱基礎講座「動的光散乱法」則末 智久先生

Q.マイクロレオロジー測定もDLSが原理になると思いますが、レオメータで測定できるG’およびG''と同等の結果が得られるという認識で良いでしょうか?また、硬過ぎると測定できないなどの制約はありますでしょうか?


Q.角度依存性でτvs q^2プロットが直線から逸脱する場合、粒子の形態の異方性が影響する場合もあるでしょうか?


Q.SECの検出器としてDLSを用いている装置がありますが、どの程度信用できるでしょうか?
使用時の注意点などありましたら教えてください。


Q.1.凝集粒子は単一粒子として観察されるのでしょうか?例えば、5 nmの粒子が凝集して1 µmとして算出される。
2.DLSイメージングでは、どの物理量を測定しているのでしょうか?
3.DLS測定中に試料が変質するようなことはあり得るのでしょうか?


Q.DLS測定で繰り返し性を上げるために必要なポイントはどのようなことがありますか?


Q. 濃度依存性において装置からDを取得することが出来ないのですが、粒子径の逆数で評価すればよいでしょうか?
実際の系は濃度数十%なのですが、濃度0%に外装して粒子径から考えるときにはどのようにしたらよいでしょうか?


Q. あるメーカのDLS装置において液体中に分散している粒子の屈折率を入れる必要がありますが、何故でしょうか?


Q.100 nm程度の粒子を5⁻10%wtで分散させた液体の散乱光を評価しています。自己相関関数にゆらぎが乗ります。
考えられる原因と対策あるいは原因解析のアプローチ方法をご教授ください。


Q.入射光と散乱光のエネルギー(波長)は変わらないとして解析をするとの事ですが、逆にこのドップラーシフトを解析して粒子径を算出している装置があると思いますが、どう評価すればよいでしょうか?


Q. 1.ゲル解析の相関関数の図で液体的・固体的とありましたが、固体的だと相関が立ち上がらない場合があると思います。相関が立ち上がる固体的とはどう理解したら良いでしょうか?
2.散乱強度スペックルは、強度が高くなるものとゲル中の不純物による強度とをどのように区別できますか?
ご発表では同じ位置では同じ強度と言われていましたが、100点測定後に同じ位置で測定した時、この強度のスペックルパターンはどの程度会うのでしょうか?


Q. 1.界面活性剤ミセルの測定において、CTABなどの分子は球状ではないため正確な測定が出来ないということが知られていると思いますが、粒子径を確認する以外に正確な測定が出来ているのかを判断することは出来ますでしょうか?
2.多分散指数ですが、例えば、10 nmと50 nの粒子があれば上がるのか、それとも8ー12 nmの間のように近い粒子系での分布があるのかどちらでしょうか?


Q.2分散系のデータを1つの緩和係数として扱って解析すると、拡散係数は2つの平均となるのでしょうか?それともどちらかに引っ張られるのでしょうか?


Q.Siegertの関係式のβは、ファイバー光学系だと何故1に近い値となるのでしょうか?


Q.Polymer溶液の場合、ランダムコイルのサイズを見ているのか、凝集粒子もしくは不溶粒子を見ているのか、どのように判断・区別するのでしょうか?


Q.1.ゲル解析で動ける部分(末端の鎖)と動けない部分(架橋点)で分けて考える必要があるとありましたが、複雑な構造を持つもの(コブロックポリマー)も同様ではないでしょうか(分子1つ1つが一様な動きをしないといけない?)
2.錯体重合したアルコキシドの分子量測定した結果は何を示しているでしょうか?


Q.複数回同じ溶液に対してDLS測定をしたところ、1回目と2回目で得られる粒子径分布が異なることがよくあります。
原因としては機器のトラブルでしょうか?それとも原理上起こり得ることでしょうか?もしくは別の原因(平衡)があるのでしょうか?


Q.溶媒の種類(イオン強度やpH)によって平均粒子径や分布の広さが変わる場合、どのデータを採用すればよいでしょうか?


Q.1.生体分子由来のナノ粒子やAAVなどの測定を行っています。50 nm付近やそれ以下(20ー30 nm)の検出が上手く出来ていません。試料の精製にもよると思いますが、何か解決案はありますでしょうか?
2.ナノ粒子にテールやファイバが付いている粒子の測定の際、SEMやTEMと大きさに相関がないことがあります。内部標準などで補正出来たりはしますでしょうか?


Q.求める緩和時間に対して、必要十分な測定時間の定義はありますでしょうか?


Q.スライドの始めの方で界面を透過する波のシミュレーションがありました。入射波が界面を透過した後にそれを追うような波がありましたが、これは何でしょうか?


 

● 「動的光散乱法の弱点と対策」廣井 卓思先生

Q.1.使用レーザ光の波長より大きい情報を得られないと一般的には言いますが、本当でしょうか?反射ではなく、散乱の光子相関を時間で解析するのだから、原理的にはµmオーダーでも情報を得られるのではないでしょうか?
2.散乱と回折の違いを簡単にご説明ください。


Q.顕微動的光散乱法は具体的にどのくらい高い濃度まで評価可能でしょうか?粒子の大きさによるとは思いますが、具体的な数値があればご教示ください。


Q.顕微動的光散乱で不透明試料を測定できる原理が理解できませんでしたので、もう一度教示ください。


Q.動的ラマン測定のレーザは何故パルスレーザなのでしょうか?


Q.均一網目構造のミクロゲルを合成しています。ゲル粒子のサイズは数十µm程度ですが、顕微動的光散乱を使用して網目構造の「均一性」を評価することは出来るでしょうか?


Q.微弱なラマン光検出系構築にあたり、倒立顕微鏡下で検出する際に迷光が問題なるかと思いますが、どのような対策をされているのでしょうか?


Q.動的Raman分光法の問題点3で分子選択的に識別されていましたが、測定例では0.5wt%と同濃度でしたが、どれくらいの濃度差で識別できるのでしょうか?


Q.動的ラマン散乱法について、CARSだと位相整合条件とラマンシフトの振動数に合わせて光学系のアライメントが必要ですが、動的ラマン散乱法の位相不整合条件角度だとどうなのでしょうか?


Q.小粒子と大粒子を測定し、CONTIN解析から数または体積分布の情報を得たい。ノイズ大粒子ピークが出ない測定時間で、ノイズピークが出る測定と比較して情報が得られるでしょうか?
注意すべき点をご教示ください。実際にデータを使ってみたいです。


 

● 「中性子小角散乱法を用いたソフトマターのナノ構造解析」眞弓 皓一先生

Q.無機粒子に吸着される高分子はどのようなものでも見えるのでしょうか?吸着している形態(コンフィギュレーション)まで推察できるでしょうか?


Q.SANS-Uのカメラ長は16 mが最大でしたが、律速なるのは何でしょうか?もっと大きいものを見たいというニーズはあるのでしょうか?


Q.溶媒コントラストを変えることで、見たいものの構造が変わることはないでしょうか?


Q.顔料を高分子分散剤で分散したものを検討しています。その中で分散剤は吸着と脱着を繰り返しているとされています。この辺りの定量化を中性子を用いて観測することは出来ますでしょうか?何割が付いているのかどのようについているのかなど。


Q.金属粉・金属箔の表面に付着した有機物の付き方(長さ・密度・構造など)の特定や判断は可能な場合がありますでしょうか?


 

● 「蛍光相関分光法の開発と発展」金城 政孝先生

Q.相関関数のτが小さいところでノイズが大きくなるのは何故でしょうか?


Q.トリプレットになったものは燐光として観測できないでしょうか?


Q. 回転拡散による散乱のゆらぎは偏光子を用いることで可能(蛍光は偏光している)との認識でよろしいでしょうか?


Q.並進と拡散モードはnm/nsecレベルでは見えてくると思いますが、細胞レベルと同様、高分子の界面などでも検出出来ますでしょうか?例えば、高分子表面に偏析している位分子・ポリマー鎖・ダングリング鎖が分かれば、新しい接着・粘着の設計が出来るのでは?


 

● 光散乱全般 世話人会

Q. DLSで粒子径を測定していますが、複数回測定しても再現性が得られない場合があります。原因として考えられることをご教示いただけますでしょうか?


Q.自己相関関数の縦軸の高い・低いは散乱体積中に含まれる粒子の数によるものでしょうか?測定していると高いもの・低いものがあり、何が影響しているのかわからない時があります(蛍光はありません)。


Q.1.スライドP。37のRgとRhの関係ですが、理論式によって導出されたものか、それとも実験的に観測されたものでしょうか?出展があればご教示ください。
2.剛球体の場合にRg/Rhが0。778とRhの方が大きいことに驚きました。この値は、粒子に吸着しやすい溶媒などの場合は変わってくるものでしょうか?


Q.水溶性高分子のSLS/DLS測定をしています。見た目には溶解し、第2ビリアル係数も正だと思われるのに、一部に会合体(凝集体)が生じて会合体ばかりが見えてしまい、非会合成分の分析に困っています。どうすればよいでしょうか?


Q.ゴミの影響が強くて困っています。ゴミの影響を除く具体的な工夫を知りたいです。


Q.水溶性樹脂(ASR)溶液の濁りの原因を光散乱法で特定することは可能でしょうか?
乳化重合で合成した高酸価ポリマー粒子にアルカリを添加し、ポリマーの形態を粒子から溶解状態へ変化させます。溶解状態の溶液はアルカリによる中和率に依存せず、濁りがほとんどない時と高い時があります。濁りの原因はいくつか想定しており、1つが「不溶解分=粒子的形状が残っている」というものです。不溶解部分はIPNで物理的に絡まったままの状態と想定しています。ゲルの散乱硬度の分離を展開して、ASRの不溶解分をゲル的構造と捉えられますでしょうか?


Q.同じ試料をDLSで繰り返し測定した際、それぞれの拡散係数の結果が微妙に異なる場合は、試料の分散が不均一であるのが原因でしょうか?また、解析結果から得られた粒子径分布の形状の微妙な差は議論可能でしょうか?


Q.分散剤で一次粒子まで分散させている試料を所定の溶媒で希釈させていますが、ソルベントショックの影響で凝集してしまい、一次粒子の粒子径測定が困難です。対処法はありますでしょうか?


Q.粒子形状が球状ではなく、粒子径にばらつきのあるナノ粒子(金・銀ナノ粒子・グラフェン・MoS2)の粒子形状や粒子体積を求めるのに良い方法はありますか?


Q.粒子の形状が不均一なナノ粒子を水溶媒に分散させる時に攪拌させる方法(超音波の時間や自己分散のさせ方など)で良い方法・工夫があればご教示ください。