光散乱Q&A

■ 光散乱Q&A(第37回)2025年11月実施

 

● 光散乱基礎講座「電気泳動光散乱の基礎」木村 康之先生

Q.スライド35のご説明の通り、ELSからも粒子径測定ができると説明頂きましたが、DLSではなくあえてELSで粒子径測定をするメリットはありますでしょうか?


Q.粒子の材質、表面組成、まわりの溶媒が全く同じで粒子径が100nmや200nmのように粒子径のみが異なる場合、得られるゼータ電位は異なるのでしょうか? それとも同じになるのでしょうか?
異なる場合どのような傾向でなぜ生じるのでしょうか?
サイズの異なる「ポリスチレン標準粒子を測定した時にサイズに依存して少し値が異なります。


Q.滑り面とは具体的にどの場所をさすのでしょうか?
DLSなどの流体力学的半径と顕微鏡などで観察される半径との差分という認識でよいでしょうか?
また、溶媒条件などによって滑り面は変わる可能性はありますでしょうか?
また変わる可能性がある場合はどのぐらいの差が生まれる可能性がありますか?


Q.デバイ長などの計算の電荷価数において、高分子電解質はどのように計算されるのでしょうか?
例えばカルボン酸を分子内に100持つポリマーなら価数は100でよいのでしょうか?


Q.ゼータ電位測定時の自己相関関数から、DLS測定のようにゼータ電位の分布を導出することはできないのでしょうか?


Q. スライド5枚目で分散系の安定性のDLVO理論図では粒子間距離が十分に取れていれば(粒子濃度が薄ければ)、 クーロン斥力がかなり小さくても安定して存在出来るという認識で良いでしょうか?


Q. 電気泳動光散乱では、電場によるジュール熱の影響は受けないのでしょうか?


Q.ゼータ電位の測定手法として、電気泳動光散乱の他に、超音波法や流動電位法といった測定手法がありますが、特徴や使い分けなど、ご知見があれば教えてください。


Q.静的・動的光散乱では試料の光学精製がとても重要ですが,電気泳動光散乱でも同程度に重要でしょうか?


Q. ホログラムの測定原理を解説していただきたいです。 測定内容としては、平行ビームのレーザーをサンプルに照射して、検出器固定でカメラ長を変化させずに干渉パターンを取得するのでしょうか?
また、像はレーザーを用いても、光学顕微鏡と同様に明視野・暗視野など得られるのでしょうか?


Q.100 nm程度のナノ粒子のNTA測定を普段行っています。
ホログラフィック顕微鏡を使用した3次元観察によって精度の向上や多角的な情報が得られるのではないかと期待しています。 現在のNTAシステムに組込むことは可能でしょうか?
また、テキストでは位置推定精度が27 nmとありましたが、その場合ナノ粒子では誤差が大きく技術的に難しいでしょうか?


Q.ゼータ電位を測定した際、ー60 mV程度の高い負の電位を有する粒子でもスペクトルのすそ野がゼロを超え制になっている場合があります。 これは粒子が正に帯電しているものがあると考えて良いのか、実験的なミスなのかご教授いただきたいです。


Q.電気泳動光散乱で高濃度のNaCl(0.5 M)や尿素(7M)を含む水溶液中で高分子のゼータ電位は測定可能でしょうか?


 

● 「多成分、光吸収、濃厚分散粒子系に展開する動的光散乱」中村 崇市郎先生

Q.DLSの平均粒子径の角度依存性について、単一の粒子においても得られる平均粒子径の角度依存性があるように見受けられますがなぜでしょうか?
スライドp.6において、θ→0につれて、42.5nmは増大傾向、1umは減少傾向のように見えます。


Q.多数の粒子径が混ざった系に対して様々な散乱角から測ることによって粒子径を推定できるとあったが、 Rayleigh散乱領域の粒子径を持つような系に対してもこの方法は使えるのでしょうか?


Q.スライド6頁の異粒子径の粒子混合分散液は、それぞれどのくらいの比率で粒子を混合された測定結果でしょうか?
以前、似たような異粒子径の粒子混合分散液を後方散乱のDLSで評価したことがあるのですが、平均粒径は大粒子の値に引っ張られた結果になりました。
何の違いでそうなったのか、もしご知見があればご教示いただけますと幸いです。


Q.LC DLSを用いて測定できるサンプルの上限濃度について教えていただきたいです。
また、濃厚系・希薄系では粒子径分布が変わるとのことですが、同一サンプルで濃厚系・希薄系のデータを測定した実際のデータはございますでしょうか?


Q.ナノサイズのフェライト粒子の粒子径分布測定をしたいのですが、凝集してしまうことから本来の粒子径を測定できずにいます。
分散剤の検討以外で、装置の側面からのアプローチだと、入射光強度や補正を見直せば測定できる可能性はあるのでしょうか?


Q.ポリスチレン(200 nm)粒子にタンパク質等を吸着させてDLSを測定すると粒子径が大きくなります。
SEMでの観察では問題なく200 nmの粒子でした。
タンパク質を吸着させてもDLSで真の値を求めるにはどうすれば良いでしょうか?


Q.p.45の平均自由工程と後方散乱係数の意味や定義を教えていただきたいです。 また、波長依存性はあるのでしょうか? 平均自由工程:2 µmで極小、後方散乱係数:800 nmでの落ち込み


Q.入射光が強い程粒子の熱運動が大きくなり、粒子径が変わるとのことですが、レーザーから粒子に熱エネルギーが伝わる時間はどのくらいでしょうか?
DLS測定が完了するまでに粒子が受け取る熱エネルギーが定常状態に達するのでしょうか?


Q.動的光散乱法の説明中で、濃厚試料において多重散乱や界面異常拡散(ガラス衝突)が生じるとのお話がありましたが、 これは静的光散乱法でも起こりうる現象でしょうか?また、これらの減少により測定が難しくなることはあるのでしょうか? 加えて、界面異常は測定セルにより変化および改善できるものでしょうか? (ガラスではなくプラスチック製を使用する、四角セルではなく丸セルを使用するなど)


 

● 「散乱による水溶性高分子の会合挙動の評価」遊佐 真一先生

Q.高分子ミセルのpHごとの粒子系測定において、pHを調整する際に具体的にどういった溶媒を使用したのでしょうか?
また溶媒選択の際に注意する点はありますでしょうか?


Q.スライドp.35で放出されない残りの分子は取り込まれたままということでしょうか?


Q.中空構造のシェル部にMPSを使用されておりますが、こちら生体適合性のある物質でしょうか?
また、中空内部にはどのような方法で薬剤などの分子を取り込むのでしょうか?


Q.水溶性高分子の会合挙動について、動的光散乱にて流体力学的半径を求めていましたが、溶液粘度が出ないくらい希釈して測定しているのでしょうか?測定のコツを教えていただきたいです。


Q.ご講演の中にあったTEMはどのように測定されましたか?そのままの状態で測定できるものでしょうか?


Q.高分子のDLS解析で使う粘度はどのような測定手法で取得されていますか?


Q.高分子会合体を光散乱で調べる際に、会合していない高分子の分析と比べて難しい点があれば教えてください。


Q.生体適合性のある粒子を多く作製されていますが、実際に細胞や動物実験等での効果を確認された例がありましたら教えていただきたいです。


Q.PICベシクルはTEM像では形がややつぶれているあるいは一部開いているようですが、何か理由があればご教示ください。


 

● 「ランダムレーザー:散乱光によるレーザー発振」岡本 卓 先生

Q.光増幅媒質に適する色素として蛍光色素ローダミンが使われている例がありましたが、蛍光を発する化合物であれば何でも利用できるのでしょうか?また、色素を溶かす溶媒では制約はありますでしょうか?(水・エタノール・イオン液体・ポリマーなど)


Q.半導体レーザーの増幅媒質として、ZnOが使われている例を紹介していただきましたが、フェライト(酸化鉄を主体とした磁性体)が増幅媒質として使われた実績などはありますでしょうか?


Q.粉体や色素を原料に作成可能とのことですが、作るまでどのようなレーザーができるのか分からないとお話がありました。 同じ原料を使えばある程度再現性はあるものなのでしょうか?


Q.生体レーザー形成する内臓や筋肉で、動物の種類やヒトの性別、胃や肝臓などの部位によって相違点は生じるのでしょうか?
また、神経などに影響を与えるのかもお伺いしたいです。 (先生のお話に興味を抱いたため、マウスの脳みそでランダムレーザーを作ってみたいです。)


Q.スライドp.9にランダムレーザーはポリマーでも作ることが出来るとお伺いしました。
ポリマーと言っても、作り易いものと作り難いものの相違点はあるのでしょうか(疎水性や官能基など)?
(生分解性プラスチックの研究を行っているので、いつか作ってみたいです。)


 

● 光散乱全般 世話人会

Q. 20 nm - 50 nmのような比較的小さい粒子で粘度の低い高濃度液をDLS測定すると、20 nmに加えて、存在しない数nmの粒子径分布が得られることがあります。
希釈測定すると、数10nmのピークだけになります。
チンダル現象が鮮明に見られるような透明性が高い数10nmの分散液においても多重散乱現象によって、異常な結果となってしまうものでしょうか?


Q.セルロースナノファイバーの長さや直径を偏光解消動的光散乱法で調べようとしたところ、非常に長いために回転拡散の緩和時間が長く、測定が困難であることに気づきました。
静的・動的光散乱法で高アスペクト比のファイバーの運動や形状に関する情報を得られる工夫や解析方法などありますでしょうか?


Q. 両親媒性高分子を対象とし、DLSで見られた2つの分布をそれぞれ分取するために、どのような手法を用いることがあるのでしょうか?
また、遠心等による圧力の影響で凝集体が解離してしまう可能性は考えられるでしょうか?


Q.アルコール中の高分子をDLSで測定しようとしています。溶媒の粘度は数cPですが、サンプルによってはレオメータで測定した低せん段時の粘度が数十cPにもなります。この値をそのまま解析に使用してもよいでしょうか? それともほかに推奨の測定手法はありますでしょうか?


Q.静的光散乱法の中で、Mie散乱には前方・側方・後方には特性が分けられるといった内容があると思いますが、前方・側方・後方には明確な定義はあるのでしょうか? 文献を確認しても、0°や90°といった大まかな分け方が多いため、明確な境界は何であるのかと思いました。


Q.ベシクルに物質を取り込んだ状態で分子量を測定可能でしょうか?
測定出来れば取り込んだ量が分かるのでしょうか?