プログラム

■ 第16回散乱研究会(2004年11月)

※研究会開催当時の所属を記載
  散乱基礎講座「ゼータ電位の基礎と微粒子の分散・凝集」
講師:尾崎 正孝 先生 (横浜市立大学)
微粒子分散系を取り扱う研究者・技術者にとって,分散系の分散状態は最大の関心である。疎水性のコロイドの分散・凝集や粘性などの分散系の基本的性質は微粒子の荷電状態によって大きく作用されるのでコロイド粒子の荷電状態の情報は大変重要である。しかし、コロイド粒子の荷電状態の尺度であるコロイド表面の電位は表面から十分離れたバルク(沖合)を基準とする絶対電位で、普通の電位差計(電圧計)では測定できない物理量であり、所謂界面電気的測定によらなければ測定できない。本講演では、分散凝集の基礎とゼータ電位およびその測定法について述べる。
  交流電気泳動光散乱法とその応用
講師:木村 康之 先生 (九州大学)
直流電場下での荷電性高分子やコロイド粒子の電気泳動現象は、高分子の分離分析や表面電荷の評価法として広く利用されている。しかし、系に交流電場を印加することで、そのダイナミックスに関してより有用な情報を得ることができる。本講演では交流電場を印加し、その複素電気易動度スペクトルを光散乱法を用いて測定する新しい方法とその応用を紹介する。
  多重散乱制御による新規フォトニクスポリマーデバイス
講師:小池 康博 先生 (慶應義塾大学)
透明ポリマー固体内に、ミクロな不均一構造を形成することにより、従来の透明体光学に代わる、次世代・高輝度光散乱ポリマーの原理を解説する。それらを用いたLCDバックライトならびにゼロ複屈折性フィルム、スクリーンへの応用展開について述べる。
  走査型顕微光散乱による高分子ゲルの網目構造解析
講師:古川 英光 先生 (北海道大学)
走査型顕微光散乱(SMILS)を開発し、それを用いたゲルの内部構造の解析法の確立に取り組んでいる。ナノスケールの網目サイズの不均一性やサブミクロンスケールの網目濃度の不均一性の解析法について解説する。
  濃厚系のゼータ電位測定
講師:筒井 和典 (大塚電子株式会社)
ゼータ電位はコロイドの分散・安定性の評価に欠かせないパラメータであるが、従来は希薄溶液での測定しかできなかった。しかし、最近開発した測定技術により、10%程度の高濃度溶液まで測定できるようになった。本講演ではその最新の測定技術と応用例を紹介する。
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