プログラム

■ 第20回散乱研究会(2008年12月)

※研究会開催当時の所属を記載
  散乱基礎講座「静的光散乱法 - その基礎と応用 -」
講師:佐藤 尚弘 先生 (大阪大学 大学院理学研究科)
光散乱法は、高分子やコロイドを含む系のナノメートルからサブミクロンスケールの構造を知る上で、非常に有力な手法で、現在注目を集めているナノテクノロジーの基盤技術のひとつである。講演では、静的光散乱実験の入門編として、その原理、実験方法、データ解析法の基礎、および応用例について述べる。
  高機能バイオ界面を持つポリマーナノ粒子
講師:石原 一彦 先生 (東京大学 大学院工学系研究)
生体分析や臨床診断にポリマーナノ粒子が利用されているが、その界面の設計、創製は高S/N比を実現する上で、極めて重要である。ここでは界面やコロイド特性を散乱技術で解明し、バイオ界面創製の実例を紹介する。さらに、これからのナノバイオ・医療分野に適用するポリマーナノ粒子の創出について解説する。
  流動光散乱法による高分子準希薄溶液の流動誘起相分離の研究
講師:竹中 幹人 先生 (京都大学 大学院工学研究科)
一相領域にある高分子準希薄溶液に剪断を印加すると溶液は白濁し相分離を呈する。その現象を流動光散乱法により調べた結果について講演する。さらに、その現象を引き起こす現象が色々な動的に非対称な系においてユニバーサルな現象であることを示したい。
  高分子溶液の気液相境界における自己組織化析出現象の観測
講師:岩井 俊昭 先生 (東京農工大学 大学院共生科学技術研究院)
均一なサイズの高分子微粒子を生成する方法として、自己組織化析出法(SORP法)がある。動的光散乱法を用いて液面からの深さ方向の粒径計測を行い、SORP法における高分子粒子の成長プロセスの解析結果を報告し、微粒子の生成プロセスを制御するうえでの化学反応場の時間と空間をパラメーターとする粒径計測の必要性について講演する。
  動的光散乱法によるナノ粒子の粒子径分布測定
講師:森 康維 先生 (同志社大学 理工学部化学システム創成工学科)
ナノ粒子の研究が盛んになるにつれて、その大きさを測定する手法として動的光散乱法がますます注目されている。しかしながら、元来単分散粒子や非常に粒子径分布の狭い粒子に対して、有力な手段である動的光散乱法を粒子径分布のある試料に適用した場合の問題点を充分に議論してきたとは言い難いのが現状である。本講演ではナノ粒子の動的光散乱法を利用する場合の注意点を、多分散粒子試料を中心に、単分散粒子試料についても解説する。
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