プログラム

■ 第21回散乱研究会(2009年12月)

※研究会開催当時の所属を記載
  散乱基礎講座「動的光散乱の基礎と応用」
講師:柴山 充弘 先生 (東京大学 物性研究所附属中性子散乱研究施設)
高分子やコロイドなどの分野で広く使われている動的光散乱について、理論の基礎から実験、解析方法について概説する。応用例として、粒子の分布解析、ゲルのゲル化解析などのトピックスについて紹介する。
  アミロース誘導体の希薄溶液物性とらせん構造
講師:寺尾 憲 先生 (大阪大学 大学院理学研究科)
アミロース誘導体のらせん構造は、その置換基の化学構造、置換基間の相互作用、さらには溶媒との相互作用に強く影響される。本講演では、数種類のアミロース誘導体について主に静的光散乱法と小角X線散乱法を組み合わせて決定した局所的な分子鎖長と剛直性を通して、種々の相互作用とアミロース誘導体のらせん構造との相関について調べた結果について紹介する。
  ブラックスモーカーの物理化学
講師:出口 茂 先生 ((独)海洋研究開発機構 極限環境生物圏研究センター)
深海底には、水の臨界点(Tc = 374 ℃、Pc = 22.1 MPa)を超えた高温・高圧の水が湧き出す温泉があり、熱水噴出孔と呼ばれている。中でもブラックスモーカーと呼ばれる熱水噴出孔では、金属硫化物の微粒子を多量に含んだ高温・高圧水が吹き出しており、高温・高圧水中での微粒子分散系が形成されている。通常環境における微粒子分散系については、これまでに膨大な研究がなされてきた。しかし、我々の持つ微粒子分散系についての知識は、このような極限的な高温・高圧環境下でも通用するのであろうか?本講演では化学安定性と分散安定性という2つの視点から、超臨界状態を含む高温・高圧水中での微粒子分散系について、最新の研究成果を紹介する。
  光散乱を用いた化粧品、エマルションの評価
講師:坂 貞徳 先生 (日本メナード化粧品(株) 研究技術部門)
エマルションの評価方法として、粒子径及びゼータ電位測定を紹介する。実際に行っている測定を例にあげ、サンプル調製、また、他の測定方法との比較を行い、データの取扱い等の問題点ならびに課題について解説する。
  超分子ポリロタキサンの構造とダイナミクス
講師:伊藤 耕三 先生 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
ネックレス状の超分子であるポリロタキサンは、そのユニークな構造に起因したダイナミクスによって基礎と応用の両面から注目を集めている。本講演では、ポリロタキサンの静的および動的散乱研究を紹介する。
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