プログラム

■ 第22回散乱研究会(2010年11月)

※研究会開催当時の所属を記載
  散乱基礎講座「電気泳動光散乱の基礎」
講師:木村 康之 先生 (九州大学大学院 理学研究院)
コロイドの代表的物性量であるゼータ電位を測定する代表的な方法である電気泳動光散乱法について、その背景となるコロイドの電気的物性、動的光散乱法等を含めて解説する。また、従来の測定法では直流あるいは低周波数の交流電場が用いられてきたが、本講演では、その発展として広い周波数での測定を可能にする新しい測定法についても紹介する。
  土と水環境のコロイド分散系から見出された界面動電現象の諸課題
講師:足立 泰久 先生 (筑波大学大学院 生命環境科学研究科)
土壌や水環境中にはおびただしい数のコロイド粒子が含まれる。従って、コロイド粒子(ナノ粒子)を扱うコロイド界面科学の知識は土壌や水環境で提起される諸問題の理解や解決に有益と考えられる。しかし、このオーソドックな接近は、はからずもコロイド界面科学に新たな現象論的視点を喚起する。講演では、その例として、水処理の凝集剤の作用機構、粘土懸濁液のレオロジー、腐植物質のコロイド界面科学的側面を紹介する。
  中性子および光散乱法とレオロジー測定によるナノサイズエマルション製剤の構造解析
講師:久米 卓志 先生 (花王株式会社 解析科学研究所)
高圧乳化法によって、ジェル状で粘度が高いナノサイズエマルションが調製できる。 これに水溶性ポリマーを追加するとshear thickening現象が生じる。 このような製剤の本質に迫るために、散乱法とレオロジー測定による解析例を紹介する。
  希薄溶液中のポリメタクリル酸メチル鎖のコイル-グロビュール転移
講師:槇 靖幸 先生 (群馬大学大学院 工学研究科)
希薄溶液中の屈曲性高分子鎖は、高温では広がったランダムコイル状態であるが、低温では収縮し、グロビュール状となる。本研究では、ポリメタクリル酸メチル鎖のコイル-グロビュー ル転移を静的・動的光散乱で測定した結果を紹介する。
  薄片固体レーザにおける自己混合変調効果と光計測技術への応用
講師:大塚 建樹 先生 (東海大学 情報理工学部情報科学科)
薄片固体レーザにおける、発振光とターゲットからの周波数シフト帰還光との干渉に基づく、超高光感度の「自己混合変調効果」の原理と、実時間ナノ振動計測、流体・粒子計測、バイオセンシングへの応用について述べる。
第21回へ  第23回へ